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この5年間、まだ見ぬ中国、その中国5千年の粋を籠めた極小の偉業の、膨大な秘事・
術、混沌の中で、さ迷いながらもようやく一応の決着を観て、心の整理が出来ました。
天隠への「道」“無為自然”の学究心、果てしない知と心の探検であり、むろん凡夫私の到
底辿れる道ではありません。

 私の辿る道は再び深い霧の中に、閉ざされようとしています。
太極「寶」は、史上類例を見ない、この世に「一」つしか無い神噐・である為、本書、
ての項目の一つ一つが中国五千年の壮大な“歴史のパズル”であり、悪戦苦闘の毎日でし
た。
 思索と資料集め、推理と検証そして、紙面・ワープロとの明け暮れで祈るような毎日で
した。今日ここに本書「寶」の完成を迎えられたのは、一重に私を支えて戴いた多くの方
々の力添えと、たゆまぬ先人の賜物そして神仏、祖先のご加護です。
 終わりにあたり、この「寶」の印文を最初に解き明かされた黒川先生と奥様の暖かい励
ましと、先生の蓄積された資料の適切なる賜りに、改めて感謝を申し述べるものです。
生の『日本古典文学全集』
199511月号付録の(小学館)『高岡の地と万葉』又、家持記
念館というべき「万葉歴史館」に納められた先生の研究書を拝読し、地道な行動と膨大な
資料に裏付けされた、深い知性と“命”の通った文面に、どれくらい本書の“北極星”と
して励みになったか分かりません。
 この場をかりて改めて厚く厚く御礼を申し上げます。
 今図書館の
2階・窓際の机に早春の陽射しが照り、苦闘の日々を、優しく包む、、、この7
年、私の書斎代わりとなった、愛する郷土の図書館、このロビー正面に置かれた、堂々た
る獅子
が私を勇気づけ、いつも頼もしく迎えてくれました、、、、、、。近年、関係書の
水準が著しく深まり、職員の方々のご高配に深く感謝申し上げます。また、本書の二度三
度にわたる文章の前面チェックは「司書」の
HM氏の手によるものです。
 多くの示唆と適確な関係書を“選抜”戴き、その学恩に厚く御礼を申し上げるものです。
又、ご夫婦思いでの『大漢和辞典』を、最初に紹介戴き、図書館の休館日、忙しい中い

も快く迎え、拝見させて戴いた、司法書士の竹岸先生(故人)と奥様。
 全くの素人の為、言葉に言えぬ御懸けし、採算を無視しご尽力戴いた第123回発行書の
北陸電算株式会社の社長様、ならびに奥様に深く深く感謝申し上げます。
 加えて、最終仮本が完成した記念すべき平成1195日より開始した我が闘争の第2
に参戦戴いた、大和陸運、関巌社長、割烹しげはま・一宮氏、恩師・北越昇先生・安平・

入道”安さん”にも改めて感謝申しあげます。念願が叶えられた書斎に『大漢和辞典』が晴
れて備えられ、共に「座右の書」となった吉野先生の全巻もいずれ近く居並ぶであろう。
 本書「寶」により、中国研究の新たな道は開いた筈である。今後、私のつたない一里塚に
対する、各専門分野の方々の叱責を賜り、本書の誤認の指
摘・訂正・補完・等々。又未解
明の分野に光を当て、「寶」の真の所見が明らかにならん事を、衷心より願う次第です。
 それは歴史に埋もれた名も無き幾千幾万の関係者の労苦と引き継がれた歴史に対する我々
の感謝と、未来への希望と考えるからであります。本書を希求した私自身の時空は天命“
宿命”であろう。
満天の星々に只々、感謝と祈りを捧げるだけであります。


  おさな日を 黄金の落ち葉に 踏みしめて

              上日時・銀杏精舎にて
              平成9年11月15日


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拙著「寶」本「あとがき」より