文化庁長官への正式「訴状」

 

粛啓

 

はじめに日本文化のため、日々身命を挺しておられる青木長官に深甚なる敬意表するものです。

文化行政の重責を担い、過密な長官に北陸の田舎町より、身の程も弁えず訴状を差し上げますこ

と、お許し願います。

お届け致しました題名「寶」本は、門外漢が、日本最大の『大漢和辞典』に載る中国4000年

の至宝、神噐「寶」について史上はじめて解明し、その存在を立証した拙著です。

写真の獅子陶印は、中国文化の黄金期、約1300年前の唐代に、あの有名な玄宗皇帝の勅令に

より製作された、唐朝の神噐「寶」であります。

陶磁器蒐集が高じて運命的に「寶」と遭遇し、はからずも踏み込んだ、漢文化の壮大な歴史の海

原でありました。

解明の結果、この神噐「寶」は、準備と焼成そして篆刻に、約30年の歳月かけ製作された唐朝の

神噐で、今日では焼成不可能な陶磁器です。

印台は天子皇帝の易数位「一」寸「五」分、「九」寸と、唐代度量衡に合致する、47×70×70o

の方形で、1ミリの誤差も無く、しかも空洞がありません。

私の知りうる限り自然火力で焼成した、このような陶磁器は世界中に一点もありません。

日本を代表する幾人もの陶磁器関係者が“焼成不可能”と云い切った陶磁器です。

玄宗皇帝の勅令で延人員“何千万人”を動員して焼成されたと推測される神噐「寶」です。

世界中の名工がこの日本で一堂に会して、古来の自然焼成法で焼成を試みるなら、不可能世界へ

の挑戦であり、焼成の確率は奇跡を期待するしか術はないでしょう。

もし奇跡的に焼成なったと仮定した場合、焼成に要する総経費はアメリカNASAアポロ計画の

総予算を上回り、焼成燃料の樹木は日本の国土から消失することが予想されます。

焼成も不可能世界でありますが、さらにこの印面に篆刻された韻文「九文字」は天文学的確率の

中から創造された、漢文化の神知「太極」の神秘が“天隠”されてありました。

そして、この神噐こそ、老子「五千言」第40章から創造され、後世に伝わる幻の器「方円の器」

でありました。

この奇跡の韻文を考案したのが、唐代、中国道教茅山派12代宗師・司馬承禎です。

焼成の奇跡と、韻文の奇跡、これが“ビッグバン”「太極宇宙」を天隠した神噐「寶」であります。

その唐朝の神噐・太極「寶」を鎮護する神獣・獅子、伝説の「白澤」は、中国は云うにおよばず、

東南アジア全域に伝播した、獅子文化の原点、基であります。

その伝播面域は、“万里の長城”を凌駕いたします。

遣唐使がもたらした正倉院文物の紋様は、獅子が中国皇帝の象徴「龍」を、75対10で完全に圧

倒しております。まさに唐代「寶」の証左であります。

この神噐「寶」は天寶年間の「安史の乱」に“強奪”され、以後歴史の闇に消え、その行方は一

切不明で、今日までのあらゆる歴史書、文献にも登場しない幻の「寶」です。

神噐「寶」の発掘により、唐代史・道教史・陶磁史・印章史・漢字学・中国民俗学・皇帝文化史・

その他、漢文化の歴史は根底から塗り替えに迫られております。

 

同封は「寶」に寄せられた諸先生方の玉書です。

ご存知のように、元NHK経営委員会座長・故草柳大蔵先生は日本の知性と謳われた御方で、玉

書は「寶」の次第全てを、“心眼で喝破”なされた絶筆です。

不変のご支持を賜る京都藤井有鄰館館長はじめ、玉書を寄せられた方々は日中を代表する方々で

す。

これまで中国歴史研究の何十人の諸先生方に「寶」本をお送りし、漢文化の歴史を覆す世紀の「寶」

発見をお伝えしてまいりましたが、誰一人正面切って異議反論なく、殆んどの先生が沈黙もしく

は背走です。

同封、「日本道教学会」「日本中国学会」「東方学会」との確執の書状を御検分願います。

約3000名の大学の諸先生が参集すると勘案される日本を代表する三学会に、礼を尽くし、意

を尽くし、十分なる期間を設け、「寶」の真偽是非を問うて参りました。

しかしながら、三学会揃って公式応答は一切戴けず、完全沈黙であります。

書状の通り、私は三学会に対し、門戸を閉じ沈黙されるは、「寶」本の枝葉な錯誤は別として、「寶」

の史実・真理、歴史の大本、一切に異論反論なきものと承知する旨の、念に念を押した書状を内

容証明書でお届けしております。

三学会の対応は、学徒としての大罪、真昼の蜃気楼であります。

日本は経済、国防に加え、“文化の危機管理”も「体」を成していないと、天を仰いでおります。

中華4000年、世界に鳴り響いた文化の黄金期、その金字塔、神噐・太極「寶」解明発掘は、

ドイツのシュリーマンがトロイアの遺跡を発見した壮挙に匹敵する“世紀の発見”と信じて疑い

ありません。

三学会を完全踏破し、本年4月2日付けで、長官直属の「文化庁審議委員会」にも、同内容の書

状を「寶」本と共にお届け致しております。

また同時、「東洋陶磁学会」、「NHK」、「日本学術会議」等々にも同様にお届け致しております。

もとより、世界遺産とも云うべき、神噐「寶」は、個人が所蔵を許される様なこれまでの国宝と

は訳が違います。

歴史は未来を観る座標軸、文化は人類共有の財産と心得ます。

処遇は文化庁に全面的にお任せする所存です。

 

歴史の扉、登龍門の扉は、未だ開いておりません。

あらゆる研究書は著者にとって「命」であり「宝」であります。

漢文化の歴史を覆す神噐、太極「寶」発見を知らず、空しい「虚」の歴史書が今も続々刊行され

ております。

中国歴史研究家は、日本のみならず、世界においでます。

お知らせすることは、歴史への責務であります。

願わくば、北京オリンピック以後早々に、歴史の扉が開かれることを切望しております。

不眠不休、言葉にならぬ17年でありました。

私的にも絶体絶命の状況下で、日暮れなんとしております。

青木長官の指揮のもと、文化庁および関係機関の速やかなる対応を“一刻千秋”の思いでお待ち

申しております。

未熟者の不調法、不作法、世紀の「寶」発見に鑑み、平に平にお許し願います。

長官の益々のご健勝を北陸の地にて心よりお祈り致しております。

                  敬白

平成20年5月30日