暴風雨

 

千里ブロックに陰りが見える少し前頃、私の義兄、姉の旦那の会社が倒産した

記憶は定かでないが約23年前の話である

確認はしていないが人の噂で当時負債総額は7億5千万と聞いた

その金額が現在の価値に換算するとどれ程なのか分からないが、2.5倍とすると18億

である・・・・・・・

小さな氷見での倒産額である・・・・・・・・

その昔、般若鉄鋼が巨額の赤字で倒産したと聞くが、恐らくその次位の倒産であろう

表向きは大手の会社の下請と、建設会社であるが、実体は金貸業であった

人から借り集めた金を他人に高利で貸し、暴利を得ていた、

氷見の遊び人が何人も出入りしていた

倒産の影が色濃い頃、ヤクザも出入りしていた

倒産の一番の原因は勿論放漫経営ではあるが、悪いことに義兄は博打打ちであった

人の話では何百万単位で競輪競馬に連日つぎ込んでいたと言う

義兄に姉を嫁がせたのは母親であった

結婚当時義兄は両親が亡くなっており、兄弟姉妹4人が肩寄せ合って生活していた

その長男で、苦労している義兄を母親が見込んだのである

母親の完全なミステークであった

同じ氷見市内である

私は、義兄が商売を始めて間もない頃から出来るだけ距離を置いていた

100万円貸して一ケ月で3万の利息が付く・・・・・当初何度か貸したが、私はある時

点から一切手を切った

私は千里ブロックの土方をしながら汗水たらして稼いでいる

そんな甘い事が何時までも続く訳が無い!!!!!!!!

私は義兄が必ず倒産すると確信していた

倒産する1年程前位に、両親に義兄は必ず倒産するから距離をおけと、再三口喧しく忠告

した程である

義兄私の間は冷却した

それでもそれ以前2度程千里ブロックを発注に来た

義兄である・・・・・・・仕方なく出した事もある

今でも付き合っている友達のK氏も当時評判を聞いて義兄と取引したいから、紹介して欲

しいと言う

私はKの頼みを何回か断った

義兄弟である私が取引する気がないのである

それ以上私に言わさないでくれ・・・・後は君で判断しろと・・・・・・!!!!!!

Kは何があっても私に文句を言わないから紹介して欲しいと言う

仕方なく私の名前を使う事を許した

大金では無かったが、ものの見事にKも損をした

Kは私には一言の愚痴もこぼさなかった

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いずれにしても、私の断定的予感は的中した

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資金繰りに窮した義兄の専務Oは失踪前夜、私の家に来てお金を借りに来た

O専務とは良く飲み屋で一緒であった

しかし私はこれまで義兄に貸して無いのに貴方に貸すのは筋が通らない

!!!!!!!!!!!!!!

Oは私の筋の通った話に、一言も無かった

その足で失踪した

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小さな氷見市である、話は話を呼ぶ

飲み屋は義兄の倒産話でもちきりであった

外は暴風雨である

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並みの倒産では無い

事実上金貸しの倒産である

!!!!!!!!!!!!!!!!

私は両親に謹慎閉門を激しく迫った

兄弟は他人となっても、子の責任は親の責任である

世間の目は両親にも向けられていた

私は店のシャッターを閉めろと迫った

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しかし気丈な母親である!!!!!!!!!!

いや並みの女では無い

そのまま平然と呉服店を営んでいた

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逆算すると当時両親は60を越えている

父親は既に隠居同然の身・・・・・・権限ゼロの状態

世間も母親の性根は知っている

並みの母親では無い

私ではこの状況を受け入れるには若かった

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当時は氷見が戦場であった

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い・・・・である・・・・・

私はすっかり商売意欲を失っていた

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最早氷見市で商売は出来ないと・・・・・・・

普通の会社の倒産では無い・・・・・・・・・

それほど義兄の傷跡は酷かった

それまで自殺者が出なかっただけ救いであった

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私は暗澹たる思いであった

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平成181231