★★★★★★★★★

フォルトゥナのひとみ

            百田尚樹

友人が薦めてくれた小説である

承禎は普通の人より多く本を読んだのは間違いないが、小説類はわりと少ない

その読んだ小説の中で承禎が選ぶとすれば間違いなく10冊の中に入る

素晴らしい!!!

読み終えて、著者百田先生の凄さ、いや脳構造に驚くばかりである

考えもつかない着想である

題名のフォルトゥナとはギリシャ神話の運命を司る女神らしい

主人公の男が、町や電車のなかで人間が透明に見えるのである

主人公から見える透明に映った人間は、何か月以内に死ぬ運命と決まっている

その運命から透明に見えた人達を救いたい

その特殊能力をもった主人公の苦悩の物語である

運命を受け入れる・・・逆らう・・・・心の格闘・・・掘下げが凄い

最後は大勢の人間や子供達が透明に見え、大惨事の電車事故を予見する、

それを阻止するため、主人公は死を決意するのである

小説の簡単な説明で有るが、もの凄く面白かった

着想が素晴らしい

自己犠牲の格闘の小説である

そして運命の綾(あや)を深く追求する百田先生の深い思考に驚かされた

驚き・桃の木・山椒の木である

マア面白かった

「運命」とは「運」ぶ「命」、または「命」を「運」ぶ、と書く

自力か他力か?運ぶのは自分自身か?それとも天・神の采配なのか?

選んだ阿弥陀クジに横線を阿弥陀様が入れるのか?

自分自身か?自己選択か?

承禎は人生を振り返って、運命は決まっている様な気がする

運命の川幅(大道)はもの凄く広く、一見自力で泳いで進路を選択しているようだが、所

詮運命と云う広大無辺な広い川幅の中で、流れゆく行き先は結局決まっているような気が

する

確か歌手の「ちあきなおみ」の歌に「さだめ川」があった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

運命に大きく影響するのは人の出会いで有ろう

素晴らしい人の出会いもあれば、自分に何の影響も与えない無関係な人もいる、そうかと

思えば決定的影響を及ぼす狂った人間とも出会う

その大きな影響を与える人との出会いとは、丁度阿弥陀籤(あみだくじ)に横線の入る出

会いであろう

その出会いで不可避な進路、進む進路が決定的に横の縦線に移る

昔の自動車のクランク、ギアチェンジである

振り返って考えると色んな人との出会いも前世から決まっていたような気がする

承禎は職業アルバイトなど23種も経験して来た

その人生遍歴の中で素晴らしい人達と出会い、その人達に教えを受け紆余曲折しながら荒

波を乗り越えて来た

その出会いで何本も阿弥陀くじに横線が引かれた

女性で横線を入れる程の影響は受けた人はいない

むしろ承禎が出会った女性に横線を引いて、大方の女性をより良い方向に差し向けたと自

負している

だからモテタのである

オホン

但し1人だけ狂った女畜生いや鬼畜にあみだ用紙をクチャクチャに握りつぶされ一部引き

裂かれた、絶体絶命を辛うじて切り抜けた痛恨の経験がある

その畜生は間違いなく奈落の底に落ちてゆくであろう

奈落は鬼畜の住み家で、当然の帰結である

その絶体絶命の試練も今では運命、生まれる前からのシナリオであったと受け入れている

天は本来人間に乗り越えられない試練を課しはしないと受け止めている

自殺もまた、前世からのシナリオかもしれない

因果応報も天の道理であろう

運命の河は、老子の思想からは「道」「大道」である

「寶」との出会いも、前世からの因縁

輪廻転生、まさに千載一遇、千年前からの決まりごとであった

諸々、この小説で考えさせられた

それにしても百田先生は凄い

最後のエピローグも読者への落とし所であった

参った

全力で生きた者、真剣に生きた者、他人の為に献身する者に、運命の女神、フォルトゥナ

がほほ笑む!!!!そう思う今日この頃である

兎に角一読あれ

平成261226