黒川総三先生A

 

今少し黒川先生の事を記しておこう

私の能力では「寶」の韻文解読は無理であった

この「寶」を長年所持されていた翁は「日界・月界・太子君勅」と誤訳しておられた

篆刻文字の分からない私でも翁の「太上老」の箇所を「太子」との説明がどう考えても間

違っているような気がした

実は翁の友人の、印章屋の主が誤訳しそれを長年信じておられたのである

また門外不出、殆どお蔵入りで私に話した四文字「太子君勅」も「太子老君勅」の五文字

を間違えておられたのかもしれない!?

いずれにしても私は焼き物からの予備検証終えると、宝不動産の社長の紹介をうけ、大村

三章堂の店主を訪ね解読をお願いした

その数日後、更に黒川先生に「寶」の解読をお願いした

黒川先生は指で韻文をなぞりながら、シバラク頭の中で考えたのち、その場で「日界・月

界・太上老君勅」と解読された

そして“この文言はこれ以上の無い最高の文言”と語気を強めて賛辞された

当時私はその言葉がなぜ最高の文言であるかは、分かる筈も無い

しかし黒川先生の言い放たれた“最高の文言”その言葉は私の脳裏から消える事はなかっ

たのである

そして黒川先生が解読して戴いたその足で大村三章堂に駆け込んだ

そして店主に「太上老君勅」ではと話すと店主は今一度辞典を見ながら、ウーム載ってい

ないが、間違いない!との事であった

韻文の確認作業は終わった

まさに歴史の扉の第一歩が開かれたのであった

平成19822