前略

お送りした先の三通で擱くつもりでしたが、大兄から「太上老君」に関する資料と韻文

「日界・月界・太上老君勅」に類似する印譜と霊符の相当数のコピー資料を下さいました。

大兄は元々日本の陶磁器が御専門で、中国道教となれば専門外であります。

天命、宿命とは云え歴史的大任を背負う嵌めになった大兄に、愚生として出来る限り御

説明しておく責務があると存じ、四度キーを叩いております。

その大兄の各種霊符の疑問に答える前に、前置きをしなければなりません。

同封資料★@は『道教の大事典』で、責任編集は坂出祥伸先生(関西大学)で、道教研

究では、数多くの著書があり、今日では日本の中心的存在の御方です。

資料目次の通り、道教の領域は膨大で、70名前後の大学の先生が役割分担しなければ

ならない程の混沌世界です。

「日本道教学会」会員の幾人もの先生が名を連ね、その総括責任者である坂出先生です

ら10年前丁重なる返書を戴きましたが、結果は、「寶」本の前に沈黙です。

「日本道教学会」へは2波、計8回配達証明で『寶』の真偽是非を問い質しましたが、

梨の礫、完全沈黙であります。

それ以上は触れませんが、個々の大学教授約70名を従える、坂出先生ですら「寶」に

尻ごみであります。

『寶』の混沌宇宙にのめり込むその出発点は魅惑的なこの獅子陶印です。

調べが進む中で、この奇跡しか期待できない焼成不可能な陶磁器を何の為に焼かせたの

か?!!!そして印台で、この神の文言、九文字を鎮護するこの白獅子は、道教開祖の

一人、黄帝伝説の『白澤』である事を尽き止めました。

焼成不可能な唐代白磁、そしてその印台に鎮護する白獅子は道教開祖「黄帝」伝説に因

む言葉を話す「白澤」です。

韻文には「日界」「月界」の陰陽思想の語意、そして道教開祖老子の尊称『太上老君』そ

して皇帝専用語の『勅』の文字です。

中央は「五行思想」を暗示する五文字です。

その頃私は、この奇跡と思える「九文字」の解明に脳味噌が沸々と煮えたぎっておりま

した。

素人の私が考えても、神獣白澤が鎮護し、焼成不可能な奇跡の陶磁器を勘案すれば、焼

成を命じたのは道教に心酔し唐朝の皇宗と全土に発令した皇帝は玄宗隆基と迷うこと無

く決定です。

『大漢和』の「寶」の語意は神・道・たから・印章で、それは唐朝の神器と考えるのが

普通であります。

当然、この印面の文言にとてつもない秘密が隠されていると考えるのも自然です。

そして私は開元の前年「太極」の年号を発見するのであります。

年号「太極」の同年は「先天」で翌年が「開元」です。

実は「先天」の語意は“天の開く前の先”それはビックバーン太極宇宙であります。

また「開元」は「大漢和」によれば「元」の語意に「たから」「天」の意味があります。

即ち、「開元」は“開く元の天”は太極です。

また“開けば寶”“開いた元には「寶」です”。

重ねて『寶』は神・道・たから・印章であります。

当時の多くの著書の年表に「太極」の年号が掲載されてあるのは殆ど有りませんでした。

致し方ないとは云え、陶磁器の唐代年表にも太極は今も載っておりません。

「太極」の年号は中国何千年の歴史の中で只一つであります。

中国史家が、この太極を放置している事に驚きを禁じえません。

太極の「太」は無限大「極」は極小で、これが一つの塊になった宇宙それは、現代物理

学が辿りついたビックバーン宇宙であります。

『大漢和辞典』の漢字は約5万字で象形推移を勘案すると×5倍とすると25万字で、

言葉となると数百万と聞き及びます。

印面の文字は25万×数百万分の一、その究極の九文字です。

しかもその九文字には道教の法理・法則に則り、漢字の画数、漢数術で謀計されてあり

ました。

道教最高の秘術が天に隠す隠形術であります。

さらに異次元の篆刻象形も重層し、未来のスーパーコンピューターでも創造と解析は不

可能な天隠であります。

今日まで漢字研究者で画数からの研究書を愚生は一切目にしておりません。

即天文字にも画數の秘密が隠されてあり、その視点からの研究は放置されたままであり

ます。

★同封『唐詩選』目加田先生の資料に司馬承禎が三体の文字で老子を写したとあります。

この文言を考案した司馬承禎の異名が天隠子です。

韓国の国旗は太極旗で、中国文明の「易」哲理その太上に戴く太極宇宙であります。

★道教に「天書」伝説(同封道教辞典)があります。

その他の著書によると天から授かった「天書」は目も眩む光の文字で書いてありました。

「寶」本第1章7「漢字と画數の秘密で、この韻文が伝説の天書である事を突き止めま

した。

その発見に「易と陰陽五行思想」の日本の第一人者吉野裕子博士が驚愕なされたのです。

大兄から戴いた霊符の資料は1300年間、多くの道教道士がその天書伝説を推敲し「日

月」「北極星」「勅令」「太上老君」等々を霊符に紋様し、これこそ霊験あらたかな護符と

信者に与えた御札の一部です。

日本中の中国史研究家が誰一人異論反論できず、沈黙背走です。

「寶」は天地不動であります。

話を戻します。

ご存じの通り「道教」は中国共産党が強権で封殺しても根絶やしに出来ない、

中国4000年の民衆信仰です。

インターネットで「太上老君」を検索するだけで、これだけの資料が溢れでます。

道教の霊符、印符となると、これまた先生から戴いた資料はホンの一部であります。

日本の神社のシンプルな御札や密教修験者などの護符の量とは比較になりません。

玄宗が道教を皇宗と定めた唐代以降から約1300年、しかも広大な国土です。

また言語も文字も多種多様な、多民族国家です。

『寶』の韻文は幽玄、混沌、神秘の道教世界、その“太極宇宙”です。

焼成不可能、世界中一点も無い未曾有の陶磁器の確証を前に、意を決したとは云え、尚

且つ心の揺れ、複雑な気持ちが交錯するのは、先生ならずとも何人も無理からぬ世界の

至宝、神器・太極「寶」であります。

私が『寶』解明時、インターネットは有りませんでした。

また普及していたとしても、当時の私には猫にコンピューター、小判です。

解明の途中『寶』の「九文字」に似た文言の霊符が存在しないか、県内図書館は勿論、

東京神田の中国専門書店にまで足を運びました。

また低俗な香港映画、「キョンシー」霊幻道士シリーズ・香港獅子舞に関する映画・また

少林寺シリーズなど関連ビデオ30以上、果ては関係ないと思われるチベット仏教の曼

荼羅図まで手を伸ばしておりました。

それらの映画の中で「勅令」の霊符も登場しましたが、私の想像を満たすものを発見で

きませんでした。

さらに★研究書によると詩聖杜甫の詩が1400首、李白が800首で愚生は、唐代歌

人更に下った漢詩を振り返って勘案すると3000以上は確実に調べました。

『大漢和辞典』は6往復、新旧唐書は勿論で気の遠くなる作業でした。

日中を代表する博士そして歴史四学会誰一人反論無し!いや出来ません!!!

焼成不可能、未曾有の神器・太極「寶」は天地不動であります。

以上で大兄の芥子粒の疑念は霧散したでしょうか!?

歴史文化は人類の共有財産です!!!

世紀の「寶」を、世界が待ち受けております!!!!!

 

                                      平成24227

<同封資料>

★道教の大事典・目次

★漢詩目加田さん三体の文字

★大事典の霊符