昭和の風景

 

昭和の写真集である

写真集の中で傷痍軍人の写真があった

戦争で両足を無くし、義足で歩く写真である

子供の頃、祇園祭に傷痍軍人がアコーデオンとバイオリンを弾いて、

生活費の寄付を求めていた光景を思い出した

両手を突いて四つ這になっているのである

白い箱に5円程であったか、何度か入れた事を思い出した

私に取って、戦争の残影に触れた唯一の記憶である

戦争は私の生まれるほんの少し前の出来事である

無邪気な子供ではそれを知る由も無かった

それでも子供心に胸が痛んだ

昭和は間違いなく私の人生の屋台骨を作った

天真爛漫に遊び

私に取って昭和は、どこまでも青空であった

野山を駆けた、そして海で泳いだ

青春!花の高校生時代

そして海の男、サラリーマン時代

山をスコップで動かす程、働いた

眩しい太陽の下で流れる汗を絞った

苦しいことより、エネルギッシュであった自分が懐かしい

日本中が戦争を忘れ、日本株式会社建設にまい進した時代である

その勢いに乗って、私も力一杯に働いた

ご飯とラーメンが美味しかった

写真集を見ながら私の昭和が活動写真の様に脳裏に映し出される

昭和を全力で駆け抜けてきた

昭和は遠くなりつつある

題名は忘れたが、西郷輝彦の歌を思い出した

“夢も希望も青春も、嵐と共に過ぎてゆく”

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平成19526