決行

 

最早一刻の猶予も出来なかった

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家業を守り愛する息子に引き継ぐ・また信託戴くオーナー各位の為・生きる為・

「寶」の歴史的事業完遂のため家業の実権を取り戻す

行動日を55日としたのは、管理アパートの送金が月末であったからである

月を越せばその送金作業が確実に終っている

さすれば月末まで私の全く無知極まる煩雑な仕事はしなくて良い

彼女は銀行印と通帳すべてを肌身離さず持ち歩いていた

それを奪い返し家業の実権を取り返す

私は分かっていた

守銭奴、強烈な執着心である、話して分かる女ではない

実力行使しか無い

私に内緒の片山津温泉「瑠璃光」帰りで、鼻歌で帰宅した

それまで長くマンションで生活していた、そのいる筈の無い私が家に潜んでいた

断末魔のような悲鳴を上げ逃げようとした

捕まえ少々もみ合いになったが、カバンを奪い取った

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但し断っておく、私が生涯彼女に対し渾身の暴力を振るった事は生涯只の一度も無い

それが私の誇りであり、痛恨の極みであった

そしてそれが彼女の顔を見た最後であった

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失踪では無い、全てが露見する・・・彼女は遁走したのである

既に隠してあった現金有価証券約1億円とともに・・・・・

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彼女は大恩ある能田さんとの約束も全て反故にしていった

そして全てのオーナーの信頼を裏切り

友人知人に礼も尽くさず

4500万の新築の家も、中の約2000万の着物、洋服・宝石・カバン・靴・家具一切を捨てていった

それより、何十年間大切にしていたたった一枚の母親の形見の写真も捨てて遁走した

6年たったが只の一度も取りに来ない

来れないのである・・・・・・・・・・・・・

後で判明した事は糖尿病の私に12000万の生命保険が掛けられていたことである

三面記事・・・・素晴らしい

参りました               

                         
平成19126