「寶」エピソードそのA

 

B氷見市立図書館

私は「寶」解明に欠くことのできない「大漢和辞典」を最終段階まで持っていなかった

持っていなかったと言うより買えなかった

完全に仕事が減りヘソクリが出来なくなったのである

妻は私が遊んでいるとしか映らない

事実妻は私が路線を敷いた賃貸の仕事をしている

それに引き換え、夫は何を勘違いしているのか作家か学者気取りと完全に白い目で見てい

貴方のその頭で何をしようとしているのか???????????

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そして子供達に父親は趣味の世界で遊んでいると繰り返し吹聴しているのである

それでも飽き足りず黒川先生の奥さんに電話し愚痴と言うより私に対する罵詈雑言を吐く

のである

1ケ月の小遣いが4万円であった

この後でタバコのエピソードも話すが、とにかく喘ぎ喘ぎの生活であった

私が歴史を覆す壮絶な戦いをしている最中に武器弾薬の補給を断つのである

それだけならまだ良い・・・背後から矢を射掛けるのである

前門の龍、後門の虎ならぬ女狐妖怪であった

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これには参った

しかしよく考えれば世の女はその程度である

この段階で彼女を責めるわけには行かない

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話を戻す

図書館の二階奥に貸し出し禁止の本が居並んだ一室がある

そこに「大漢和辞典」がある

検索を含め全13巻である

今でも古本で15万円は最低すると聞く

大漢和なくして「寶」の解明は勿論「寶」本も書けない

私は何年間も図書館のその一室の奥その窓際に陣取っていた

その窓際から私の事務所が直線で100メートル切る距離である

川を挟んでさえぎるものはプラタナスの木だけである

その頃妻は潤沢なお金を手にし、買い物や友達と遊びにでかける事が多くなった

土曜日は半日、日曜祭日休み、朝は10時出勤昼2時間休憩5時には帰宅であった

サラリーマンは土・日・祭日、昼の休み時間、仕事が終わってから来店するのである

彼女は事務所のガラス戸に携帯電話番号を書いた小さな紙切れを張り紙して出かけている

のである・・・・・・・・・

私は図書館の窓からお客が事務所前で立っているのを発見して何度走ったか分からない

隣の森永牛乳の社長も何度自宅の電話番号を教えたことかと今でも言う

三陽地所は役所より楽な会社と社長(後の東平蔵)は私を皮肉った

主の教育が悪いと言う・・・・・私は返す言葉が無かった

それでもまだ現在進出している大東建託の足音は遠かった

私が築いた賃貸はまだ氷見では独占状態であった

私は解明執筆の時も一週間に一度は、朝が白々明ける頃、市街地を自動車で一回りしてい

たのである。

私は臆病で用心深いのである

その頃高岡の大手賃貸業者は氷見に進出するより砺波方面、そして自社の地盤作りに躍起であ

った

氷見の同業者はまだバブルの余韻に酔っていた

私は「寶」と戦い、守銭奴と戦い、私が築いた牙城を守る必死の攻防を繰り返していたの

である

平成19119