東京下町1930        読書

                  桑原甲子雄


この写真集は戦前の1930年代前後を集中的に掲載してある

私が生まれる10年程前である

父親が生きた時代の東京である

迫り来る戦争の足音が写真の中にも聞こえてくるようである

写真はある意味リアルである

文章を書くにはこんな写真集も脳内倉庫に無くては書けない

脳の倉庫のどこかに蓄積されてあると、何かの時に、ヒョイと生かされるのである

小説は自分が読んではじめて自分に聞かせるが、写真集は見る側に瞬時に語りかける

写真は何も話さないが、見る側に多くを語っている

平成19213