神器・太極「寶」

 

序章

  本書は中国4000年の至宝・神器・太極「寶」解明の完全改訂版です。

平成12年9月5日に第4版を自費刊行した。

その「寶」本が筆者の能力もあり、一般の方々に余りにも難解との批判の声が上がり、平

成19年2月、突貫工事で、書き改めたものです。

そして、本業と私事に忙殺され製本せずに休眠させておりました。

各章末尾の日付は改訂「寶」本の書き上げた日付です。

その後、日本における中国歴史関係四学会を完全踏破し、そして日本における陶磁器の最

高峰「東洋陶磁学会」の検証を終え、この度改訂「寶」本を刊行する事に決しました。

初版が平成9年1月ですから、神器「寶」と遭遇(そうぐう)して既に約20の歳月が経ちました。

第4版までの、準備期間と執筆解明に約10年、その後の闘争も勘案すると8万時間は確

実に要しました。

振り返って、本当に自分が歩んで来た「道」なのかと呆然(ぼうぜん)と立ち尽くします。

この「寶」本はフィクションではありません。

漢文化4000年の至宝、神器・大極「寶」解明、発見の書です。

写真の獅子の陶印が、約1300年前の中国皇帝の勅令で、約30年の歳月

を費やし焼成なった奇跡の陶磁器です。

「寶」製作を命じた皇帝は、あの世界三代美女、(よう)()()の夫、玄宗(げんそう)皇帝(こうてい)です。

中国文化の黄金期、唐代の開元〜天寶までの30年間、玄宗皇帝の勅令で、

延べ人員、何千万人を動員して、高さ約11センチ、台座の寸法47×70

×70mmの神器「寶」が焼成なったのです。

もし古来の焼成法で再現を試みるなら、アメリカNASAが人類を月面に立

たせるアポロ計画の総予算を上回るであろう。

もし奇跡的に焼成なったとしても、その燃料となる木材は日本の国土から消

失すると言ったら貴方は信じられますか。

日本を代表する幾人もの専門家が焼成不可能と絶句した!まさに奇跡の陶磁器なのです。

また印面に篆刻(てんこく)された「日界・月界・太上(たいじょう)(ろう)(くん)(ちょく)の九文字には漢文化の神髄(しんずい)

太極の神知が天隠されてありました。

一口にこの場でご説明できませんが、この九文字に隠された神の知は、未来の超スーパー

コンピューターでも創造と解析(かいせき)は不可能な“神の文言”です。

キリスト文明もイスラム文明も「太極」することの出来ない神の文言を“易した”「天

書」なのです。

「天書」とは中国の古い伝説に“光の文字”で書かれた神の言葉とあります。

また同じく方円(ほうえん)(うつわ)と言う幻の器の伝説だけが、時空を超え伝わっております。

しかし今日まで約1300年間、誰一人確認した人はおりません。

まさにこの獅子の印鑑こそ天書(てんしょ)”“方円の器”であったのです。

この印面九文字には中国文明の神髄「(たい)(きょく)」の神秘が秘められてありました。

大極の「太」は無限大、「極」は極限です。

無限大の宇宙と極限の原子核が一体になった状態が“太極”です。

太極とは、イギリスのホーキング博士が提唱する宇宙の始まり、ビックバン宇宙状態です。

韓国の国旗が太極旗である事はご承知の通りです。

ドイツのシュリーマンが古い民謡を手がかりにトロイアの遺跡を発見したと同様遭遇し

た獅子印の焼き物を唯一の手がかりに、準備期間も入れて約10年の歳月を費やし、13

00年間、歴史の闇にあった漢文化の至宝、神器「寶」を解明、発掘いたしました。

未曾有の「寶」発掘により、唐代史、道教史、陶磁史、印章史、中国民俗学、皇帝文化

史、漢字学、獅子文化、篆刻(てんこく)学、その他あらゆる漢文化の歴史を根底から覆したのです。

「寶」発見は二十世紀最大の発見と言われた秦の始皇帝の兵馬俑(へいばよう)を完全に凌駕(りょうが)いたしま

す。

初版の「寶」本刊行以来、日中を代表する諸先生より、驚きとともに、身に余るお言葉を

賜っております。

また「寶」本をお送りした大多数の諸先生方また関係学会は驚愕の中で完全沈黙でありま

す。

中国史上、文化の黄金期、唐朝の神器・太極「寶」発見により、以後あらゆる漢文化の歴

史書は書き改めに迫られるのは必至であります。

日本最大の「大漢和辞典」に「寶」の語訳に神・道・宝・印章とあります。

しかしそれがこの写真の獅子の印鑑(いんかん)であるかは勿論、どの様な(ちゅう)の印鑑であったかは何

一つ記されてはいません。

本書巻末に掲げる、易・陰陽五行の研究で日本の第1人者のお一人であらせられる故吉野

裕子(ひろこ)博士の著書「陰陽五行と日本の天皇」によると「寶」の原義は()(びょう)の祭器とありま

す。

即ち「大漢和」の語訳と合わせて推考すると「寶」は天子皇帝が蔵する神の印章、宝の印

章、(そう)(びょう)の祀器となります。

 
それは壮麗な神殿に(まつ)る天子皇帝の神器です。

「大漢和辞典」によれば「神器」は天下の覇者、象徴の宝器であると言います。

唐朝は()姓で道教の開祖「老子」と同姓で道教は皇宗でした。

老子は仏陀・孔子と並ぶ東洋の三聖人で、その教義の真髄は無為自然の「道」です。

唐朝が開祖老子に献呈した尊称は印面に刻された「太上老君」です。

重ねて印面に刻された文言「日界・月界・太上老君勅」こそ、漢文化の神髄、太極の神秘

です。

この印面に篆刻さた「九文字」こそ世界に4000万人の信者がいると言う中国道教の最

高導師たちが過去1300年間探し求めた、幻の韻文なのです。

奇跡の韻文と奇跡の陶磁器、天文学的確率の中で創造されたこの獅子印が、神噐・太極「寶」

なのです。

神器・太極「寶」製作を、時の玄宗皇帝に奏上(そうじょう)したのは、中国道教、茅山派12代宗師、

司馬承(しばしょう)(てい)です。

道教開祖「老子」の再来と謳われた「司馬承禎」こそ、この印面に刻された九文字、太極、

奇跡の韻文(いんぶん)を考案した天才宗師なのです。

司馬承禎は「寶」焼成を勅令した玄宗皇帝、その父睿宗、祖母・則天武后三代の皇帝に拝謁(はいえつ)

した当時の道教界の第一人者でした。

筆者は約1300年の時空の彼方から放たれた、「寶」解明の矢文を受けるしか道はあり

ませんでした。

それは運命の必然、宿命でありました。

怒れ多いことですが、解明の後、筆者は承禎の名を拝命し平成承禎と号することといたし

ました。

それでは、今一度、宿命の道を辿りながら、中国4000年の至宝、奇跡の、太極「寶」

へご案内する事にいたします。

約1300年、歴史の闇、その「(とう)(りゅう)の門」の扉を開ける事に致します。

 

平成19220